私たちは、コロナ禍が始まってしばらくした時期から、療養施設や自宅などで独りで家族と離れて心細い思いをしている患者様を、遠くからでも見守ることができるサービスとしてこのシステムの開発を志しました。

市場に既にたくさんのスマートウォッチ製品があることに目をつけ、その中から１つの製品を選んで見守りシステムのプロトタイプを作りました。実際に介護施設にご協力いただいて、高齢の入居者様にデバイスをつけていただいた実証実験では、当初のスマートウォッチのセンサー精度があまり良くなかったことがわかったり、時計型のデバイスが大きすぎて高齢者の方につけていただくには負担が大きかったりと、いろいろな問題を経験しました。

また思わぬ用途として、工場の従業員の危険を察知するためにと、ある企業様で試していただいた際には、既設のWi-Fiが届かないエリアがどうしても存在してそれがネックとなりました。

その後、一定のセンサー精度を確保できたモデルを見つけて提供することができましたが、今度は通信手段としてスマートフォンが必須であることから、まだ多くの高齢者はスマホを持っていない、持っていても操作が難しいという現状がわかり、限られたお客様にのみお使いいただいている状況となっていました。

そしていよいよ、それらの課題の多くを改善できる最新のモデルを採用することができました。心拍、歩数だけでなく、推測値ながらも待望の血圧や体温が計測でき、また単独で通信できるモバイル通信モデルであることが大きな強みとなっています。

実際のご利用では、医療機器ではないためどうしても参考値として見ていただくに留まります。またご家族が一緒に生活できる場合の安心感にはどうしても劣りますが、離れて暮らさざるを得ない高齢の父・母（または祖父母）のご様子を、定期的に少しでも垣間見られることには、大きな価値があると感じています。

ちょっとした異変に早めに気づいてあげたり、今日はたくさん歩いたね！などと、連絡をとるきっかけの１つにしていただければ大変うれしく思います。